平安時代に中国から貴族社会へ伝わったと言われる衣替えの文化。

四季という季節の移ろいがある日本は、次第に日本独自のタイミングで衣替えを行うようになり、着物の衣替えも細かく時期が決められています。
 
 
秋も深まって肌寒くなる頃に冬の着物である袷に衣替えするのですが、その時期は「いつからいつまで」と明確に決められています。
 
 
しかし、時代が巡り自然や環境も変わりゆく中、衣替えに対する意識や考え方も変化しつつあります。

今回は、そんな着物の袷の衣替えの時期について紹介したいと思います。
 
 
また、衣替えの時期をより詳しく理解して自分なりのコーディネートができるように、袷の仕立て方や単衣の着物との見分け方も紹介します。
 
 

着物の袷の時期はいつからいつまで?

着物の衣替えの決まりでは、袷は10月1日~5月31日までの主に寒い時期に着るものとされてます。
 
 
しかし、二枚の生地を合わせて作る袷の着物を、10月1日から必ず着なければならないという決まりでは、温暖化が進む現代では難しいことです。
 
 
そのため、現代では自分の体調やその日の気温などで独自の判断で袷を着ていくか、単衣を着ていくかを決める傾向にあります。
 
 
しかし、着物初心者が「独自の判断で着る着物を決める」ということは、周りの視線や意見が気になって中々できることではありません。
 
 
このような衣替えの不安は、着物の衣替えに関しての知識がないからおこることなので、衣替えの歴史や成り立ちを学び知識を付けることで解消されます。
 
 
そこで、ここからは着物の衣替えについての歴史と、現代の衣替えの時期についての考え方を紹介します。
 
 

袷の着物の使用時期が決まったのはいつから?

かつて中国の宮廷で、旧暦の4月1日と10月1日の年2回行われていた衣替えの時期が日本に伝わり、衣替えが始まったとされています。
 
 
日本に伝わった平安時代の頃は貴族社会だけの習慣で年2回の衣替えでしたが、江戸時代では武家も衣替えするようになり現代のように年に4回の衣替えになりました。
 
 
江戸時代の頃には期間も着るものもそれぞれ下のように細かく決められていました。

  • 4月1日~5月4日・・・・裏地の付いた袷の着物
  • 5月5日~8月31日・・・・帷子(かたびら)という裏地なしの単衣仕立ての着物
  • 9月1日~9月8日・・・・袷の着物
  • 9月9日~3月31日・・・・綿入れ(表布と裏布の間に綿を入れた)着物

 
 
 
現代の着物の衣替えも下記のように年4回ありますが、江戸時代とは着る時期も着る物も大きく違いますね。

  • 6月1日~6月30日・・・・単衣の着物
  • 7月1日~8月31日・・・・盛夏用の薄物の着物
  • 9月1日~9月30日・・・・単衣の着物
  • 10月1日~5月31日・・・・袷の着物

 
 
江戸時代の衣替えの決まりから現代の決まりになったのは、明治維新で新暦が採用されてからのことです。
 
 
洋服の文化も浸透してきた明治時代に、夏服は6月1日~9月30日、冬服が10月1日~5月31日が衣替えの時期と決められ、現在もこの日をめどに衣替えが行われていますね。
 
 
洋服文化に押されながらも和服も四季の季節や温度にあわせて、着物の素材や仕立て方も変わっていき、衣替えの時期も徐々に現代のように変化していきました。
 
 
明治時代から昭和、平成と時代が変わるとともに気温や四季の訪れなど自然環境も変わりゆくのに、明治時代から受け継ぐ着物の衣替えの決まりのままでは、現代の自然環境に対応できないのは当たり前ですよね。
 
 
自然の問題だけでなく、人々の考え方や思想も明治時代から大きく変化したり、同じ気温でも暑いと感じたり寒いと感じたり体感も人それぞれです。
 
 
そのため、着物の衣替えの時期についても人ぞれぞれの解釈があり様々な意見があるので、どの考え方が正しいのかを決めるのが難しいですね。
 
 
そこで、着物の衣替えの決まりはどうとらえれば良いのかのお話したいと思います。

衣替えの時期の決め方

時代の流れと共に自然環境も人々の考えも変わりゆき、現代の衣替えの時期については下記の様ないろいろな意見があります。
 

  • 着物には古くから決められたルールやしきたりがあるので、きちんと守らなければならない
  • 決まりに反した着こなしはみっともない
  • 体調を壊してまで決まりを守るのはおかしい
  • 決まりを厳格に守らなくても良いと思うけど、破る勇気もない
  • 自分の着姿を人にとやかく言われるのはおかしい

 
 
このように様々な意見が混在し、多くの情報が簡単に手に入る現代は、何が本当の情報かを見抜く必要も出てくるため、より多くの意見を聞くことが大切になってきます。
 
 
1人からや、一か所からの意見をうのみにせず、色々な角度と視点から物事をとらえながら、古人が大切にしてきた

「自然と共存し季節の移り代わりを衣服で表現する」

という日本の文化も大切にしていきたいものですね。
 
 
時代の流れと共に衣替えの時期のとらえ方は変わって行きましたが、時代背景や様々な意見をもとに作り上げた自分の考え方次第で、いくらでも着物の楽しみの幅が広がります。
 
 
あまり難しく考えず、臨機応変に衣替えをできると良いですね。
 
 
このように、着物の衣替えの時期は自然の環境の変化や、着物の種類の変化とともに現代も変化を続けています。
 
現在の着物の衣替えは素材や仕立て方の違いから、袷(あわせ)単衣(ひとえ)薄物(うすもの)などの着物の種類を使い分けます。
 
 
寒い時期の着物として作られてる袷の着物をより深く理解するためにも、仕立て方を見ていきましょう。
 
 

袷の仕立て方

10月から5月に使用するとされている袷の着物は、裏と表が合わさった二枚の生地=袷(あわせ)で、仕立てた着物です。
 
簡単に言うと裏地が付いている着物のことで、裏表の二枚の生地で仕立てることで10月から5月の寒い時期に耐えられるようにしたのですね。
 
 
仕立て方の方法は、上半身に「胴裏」腰から裾までに「八掛」と言われる裏地を付けて下の画像のように仕立てます。
袷の着物の仕立て方

胴裏には羽二重の生地を使い、裾・袖口・衿先などには八掛と同じ生地を使います。

八掛けの色は自由に決める事ができるので、自分の好きな色をチョイスしたコーディネートを楽しむこともできます。
 
 
留袖や訪問着などの礼装用の着物の八掛は「共八掛」といわれる表地と同じ生地を使い、下の画像のような高級感がある着物に仕立てることができます。
共八掛
 
 
このような八掛を使い仕立てた着物は、歩いた時に裾からちらりと見える八掛が、袷の仕立てだからこそできる着物の隠れたおしゃれとなります。
 
 
袷の仕立て方法からうかがえる寒さ対策とおしゃれとしての遊び心は、単衣の着物にはない袷の着物の特徴です。
 
 
単衣の着物にはない機能性とファッション性の二面性は、仕立ての方法から成り立っています。
 
更に分かりやすく袷の着物を理解するために、春や秋に着る単衣との見分け方も紹介します。
 
 

袷と単衣の見分け方

寒い時には保温効果のある袷を選び、暑い時には通気性の良い単衣を選ぶのですが、この二種類の着物の見分け方は、仕立ての違いによる見た目です。

 
袷の着物は裏地ありで仕立て、単衣の着物は裏地無しで仕立てるために、ちょっと動いた時などに裏地の有り無しが確認できて、単衣か袷かが見分けることができます。

 
着物の裏地の有り無しが確認できる場所は、下の画像の裾・袖口・振りなどです。
 
 
着物の裾
着物の裾
 
 
着物の袖口
着物の袖口
 
 
着物の振り
着物の振り

以上の場所などから、裏地の八掛が見えたら袷の着物ということです。
 
 

八掛とは、着物の裏地の事で、八掛けの色や柄を表地とは別にしておしゃれを楽しんだり、共八掛という表地と同じ生地の八掛を付けて高級感を持たせたりします。

 
 
袷の着物は、歩いた時に少しめくれる裾の八掛や、袖口や振りなどから見える八掛の柄が表地とのバランスが良い時は、着物通の上級者という感じがして素敵です。
 
 
逆に単衣の着物は裏地が付かないので、表地の裏がそのまま見えるので、見た目にも涼しさを感じますね。 
 
 
着物だと難しく考えてしまいがちですが、洋服と同じで、裏が付いてる厚手と裏が付いていない薄手といった考え方だと簡単に見分けられますね。
 
 
以上が袷と単衣の見分け方でした。
 
 
決まりでは袷の時期だから、

「絶対に袷を着ないとダメ」

という考え方をすることが少なくなってきた現代です。
 
 
しかし、袷の着物の特徴や単衣との違いを知らなければ、自分で自由に着るものを選ぶこともできません。
 
 
今回の紹介で、季節に合った自分なりの着物の選び方ができるようになると良いですね。