着物を着る際に襟(衿)がきれいに抜けなくて苦労する場合が多いのではないでしょうか?
 

「襟」と「衿」の使われ方の違いですが、一般的には「襟」と書き、和装では「衿」と書くことが多いので、以降は衿で統一しますね。

 
 
着物の衿を抜くとは、下の画像のように衿の後ろの『衣紋(えもん)』と呼ばれる部分(赤で囲った部分)を開けることを言います。
着物の襟を抜く衣紋抜き
 
 
特に着付け初心者の頃は自分の体形や着物の種類、出先の場面によって変わってくる衿の抜き具合も抜き方もわからないため、衿(衣紋)を上手に抜くことが難しいです。
 
 
衿はきれいに抜けていると見た目の印象が良くなり、着崩れも起きにくいので、自分が理想とする抜き加減で着付けられる様になりたいですね。
 
 
そこで、今回は着物の衿をきれいに抜く方法や、理想の衿の抜き具合と、出先で着崩れをしてしまった場合に簡単に直せる方法も紹介します。
 
 

着物の襟(衿)の抜き方

着物の衿の抜き方は下記の3点のポイントを意識して着付けをすると、きれいな衿の抜きを作ることができます。

  • 補正をしっかり行う
  • 着付ける時の姿勢
  • 着付けの際に使う腰ひもやコーリンベルトの付け方

 
 
着付けは

「着てなんぼ」
「練習あるのみ」

とよく言われますが、きれいに着付けるポイントを知らなければ、意識する場所や改善策を見つけることができないため、上達するのに時間がかかってしまします。

どれだけ練習してもなかなか理想の衿の抜け具合に着付ける事ができなくて悩んでいる場合は、まずはきれいに着付けるポイントを意識して着付けの練習をすると良いですね。
 
 
では実際に上記のポイント別に、着物の衿のきれいな抜き方と着崩れしない着方を紹介します。
 
 

着物の襟(衿)の抜きの着崩れしないきれいな着方

着物の衿を抜くためには下記のポイント3点を意識して着付けを行うことで、着崩れも防ぎきれいな衣紋の抜きを作ることができます。
 

  • 補正をしっかり行う
  • 着付ける時の姿勢
  • 着付けの際に使う腰ひもやコーリンベルトの付け方

 
 
では実際にどのような着方をすればよいのか1点ずつ見ていきましょう。
 

①補正をしっかり行う

着物の衿をきれいに抜くだけではなく、着崩れ防止にもなる「補正」は着付けの際に一番大切なポイントです。
 
 
補正は、直線の布で作られている着物を、曲線の身体にきれいに着付けるための補助を目的に行うものです。

着付けの補正の際によく言われることが、

「身体の胸や腰やお尻の凹凸を無くして、身体を一本の棒(直線)にする」

と言うことですが、実際にどのように着付けたら良いのか分かりませんね。
 
 
そこで下の記事の「浴衣を着る前の下準備(補正の仕方)」の章で補正の仕方を説明します。


 
こちらの記事は浴衣の着方の紹介記事ですが、着物にも応用できる簡単な補正の仕方を順に紹介しています。

上の記事の補正方法では身体の凹凸が埋めれない場合は下のような補正パットなどを使って補正するのもおすすめです。
 

こちらのパットは、後ろの腰にあてて止めるだけで、背中からお尻にかけてのくぼみを埋めてくれる便利なアイテムです。

くぼみに合わせて補正の量を自分で調節したり、タオルを当てたりしなくても直ぐに補正が完成するので、初心者や着付けの時間を短縮したい時におすすめです。
 
 
着物の衿をきれいに抜くためと、衿の崩れ防止の基礎の作業にもなる補正はしっかとできるようにしておく良いですね。
 
 
補正の仕方をマスターしたら着物の衿をきれいに抜くために、実際に着付ける時の姿勢について紹介します。

着付ける時の姿勢

着物の衿を抜く時に見逃しがちなのは、着付ける時の自分の姿勢です。

実はこの時の姿勢もきれいな衿の抜きを作るための大切なポイントです。
 
 
着物のきれいな衿の抜きを作るために、まずは長襦袢の衿を抜かなければなりませんので、長襦袢を着付ける時から姿勢を意識します。
 
 
衿合わせをする時に、着物全体の加減も確認しながら行うために、丈を確認したり身頃の幅を確認したりと、どうしても姿勢や目線が下向きになりがちです。

衿を抜く時に姿勢や目線が下を向き、背筋が通ってない状態で着付けをしてしまうと、姿勢をまっすぐに戻した時に着崩れを起こしたり、せっかく抜いたはずの衿が詰まってしまいます。
 
 
また、着物の衿の抜け加減は下の画像の様なこぶし一個分が基準とされています。
衣紋の抜きこぶし一個分
 
 
しかし、こぶしを合わせる時に、下の画像の様に自分が下を向いた状態で合わせてしまうと、正しい姿勢に戻った時に衿は全然抜けてない状態になります。

衣紋の抜きこぶし一個分

この場合も背筋を伸ばして目線は前を向いて合わせる様にしましょう。

着物の衿の抜き具合を調節する時の姿勢は鏡に向かって真っすぐ前を向き、背筋を伸ばして行うことで、着崩れを最小限におさえることができます。
 
 
理想の衿の抜きが確認できたら、その位置を固定するために使う、腰ひもやコーリンベルトの付け方も大切なポイントです。
 
 

着付けの際に使う腰ひもやコーリンベルトの付け方

長襦袢の衿の抜き、着物の衿の抜き共に位置を決めたら、下の様な腰ひもやコーリンベルトを使って固定します。
 
 
腰ひも

 
 
コーリンベルト

 
 
固定する時にも、きれいな衿の抜きを作るために大切なポイントがあります。

そのポイントは腰ひもやコーリンベルトを付ける位置です。

自分の身体にあった位置に腰ひもやコーリンベルトを付けなければ、歩いたり座ったりとしている間に腰ひもやコーリンベルトがずれてしまいます。
 
 
その結果せっかくきれいに抜いた衿が詰まって、衿の崩れを起こしてしまいます。

腰ひもは「下過ぎ」コーリンベルトは「上過ぎ」に付けないように意識して、自分の身体の一番収まりが良い位置を見つけ付けるようにしましょう。

コーリンベルトにいたっては左右対称の高さと角度に気をつけて付ける事も大切です。
 
 
腰ひもやコーリンベルトを付ける時に「衣紋抜き」という下の画像の小物を使うのも、きれいな抜き具合を作る一つのコツです。

衣紋抜きとはコーリンベルトなどを通す穴が付いている衿をきれいに抜くためのアイテムです。

 
 
さらに、衿の抜きを固定するために下の様な伊達締めで最後に固定をすると、決めた衿の抜きがより固定されます。

 

伊達締めは正絹で織られた物が一番おすすめです。
お手入のしやすさからポリエステル素材でできた伊達締めもありますが、ポリエステル素材は滑るので、「締める」ことで着崩れを防止する目的の伊達締めとしてはあまり意味がありません。

伊達締めを締めるか締めないかで、後の衿の崩れ方が大きく変わってくるので、直ぐに衿崩れを起こしてしまう場合はおすすめです。
 
 
以上が、着物の衿をきれいに抜くための着方でしたが、衿の抜き具合はこぶし一個分を基準に人それぞれの感覚や好みで決まります。
 
「このぐらいの抜き具合でなければダメ」

という、決まりなどはありませんので、一般的に理想とされている着物の種類・年齢・体形別の衿の抜き具合を紹介します。
 
 

着物の種類・年齢・体形別の襟の抜き具合のコツ

着物の衿の抜き方は、自分に合ったきれいな抜き具合を知ることが、きれいな衿の抜きを作るコツです。
着物の衿の抜き方

着物の衿のきれいな抜き具合は、着物の種類・年齢・体形別により変わってきますので一つずつ紹介します。
 
 

  • 着物の種類別、衿の抜き具合
  • 年齢別、衿の抜き具合
  • 体形別、衿の抜き具合

 
 

着物の種類別、衿の抜き具合

着物の種類別による衿の抜き具合は、フォーマル着物と普段着物によって変わると言われています。

フォーマル着物と普段着物の抜け具合は下記の様に変わります。

  • フォーマル着物の衿の抜け具合・・・・・比較的多め
  • 普段着着物お衿の抜け具合・・・・・・比較的少なめ
今回の場合のフォーマル着物とは、留袖、訪問着、付け下げ、振袖などを指し、普段着着物は紬、小紋などを指します。

袴姿は一般的に衿の抜きは少なめとされていますが、最近は振袖と同じ抜き具合で着付ける場合もあります。

普段着着物は、衿の抜きを少なくすることで、何気ない作業や日常生活を動きやすくすると言われています。

逆に普段と違う改まった場所へ着ていくことが多いフォーマル着物は、衿の抜き具合いを多めにすることで、よそ行き感を出すことができますね。

 
 

年齢別、衿の抜き具合

年齢別による着物の衿の抜き具合は子供、若者、年配、その他の人に分けられます。

  • 子供の衿の抜き具合・・・・・衿の抜きは作らない。
  • 若者の衿の抜き具合・・・・・比較的少なめ。
  • 年配の衿の抜き具合・・・・・比較的少なめ。
  • その他の人の衿の抜き具合・・・・・比較的多め。

 
 
動きまわることが多い子供と若者の衿はあまり抜かないことで、着崩れを防ぐ役割もあります。

年配の方は背骨が曲がり猫背気味になるので、自然と衿の抜き具合は少なくなります。
 
 

体形別、衿の抜き具合

体型別による着物の衿の抜き具合は、ふくよかな体型の人とほっそりな体型の人に分けられます。
 
 

  • ふくよかな体型の人・・・・・比較的多め。
  • ほっそりな体型の人・・・・・比較的少なめ。

 
 
ふくよかな体型の人は、首が短く太く見えがちなので衿の抜き具合を多くすることで首を長く見せることができ、全体のバランスがとれてきれいです。
 
ほっそりな体型の人は、首が長く細く見えがちなので衿の抜き具合を少なくすることで着姿がきれいに見えます。
 
 
着物の衿の抜き具合は、以上の様な違いから理想とされている具合がありますが、人それぞれ良いと思う抜き具合は変わってきます。

その日の着物の種類やご自身の立場や状況から理想の抜き具合を選べるようになると良いですね。
 
 
最後に出先での着物の襟(衿)の抜きの着崩れの直し方を紹介します。
 
 

着物の襟(衿)の抜きの着崩れの直し方

どんなにきれいに着物の衿の抜きを作っても、まとう物である着物は時間が経つと着崩れを起こし衿の抜きも詰まってくるものです。

ですが、出先での着姿はできるだけきれいなままでいたいですよね。

そんな時に覚えておきたいのが出先での着崩れの直し方です。
 
 
下の記事の『出先での着崩れの直し方』の章で、着物の衿の抜き(衣紋の抜き)の直し方について紹介しています。


 
 
出先でのお手洗いのついで等に、簡単に直せる方法が書いてあります。

時間が経って衿が詰まってきた時の応急処置として覚えておくと便利です。
 
 
以上が着物の衿の抜きに関しての紹介でした。

着物の衿の抜き方は、一度では中々マスタ―しにくいですが、今回紹介したポイントを意識して何度も鏡と向き合い練習することで、自分なりの抜き具合や、抜き方が分かる様になります。

きれいな衿の抜きを作り、一段と素敵にみえるような着姿を目指したいですね。